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にだてんとおっぱい

 自営業をしていると、商売以外にいろんな肩書きがつくことがある。
 にだてんもピックアップ店長以外に複数の肩書きを持っている。

 そのひとつが、「全国貧乳主義者同盟議長」である。
 全国貧乳主義者同盟、通称「全貧同」は、長い歴史を持つ貧乳主義者の団体である。
 このブログを読んでいる諸氏の中には、かつてこの国で吹き荒れた学生運動の歴史に通じている人も多いだろう。

 そう、60年巨乳闘争と、70年巨乳闘争に代表される反巨乳闘争の歴史である。
 1950年代末期、COM(ちっちゃいおっぱいを愛でる会)という全国の大学を横断する小組織が始まりであった。
 それは戦後、アメリカより流入する巨乳主義思想に危機感を抱いた学生達が始めた勉強会に過ぎなかった。
 この活動は瞬く間に賛同者を増やし、数年後には全日本貧乳党として政界に打って出たのは周知の通りである。

 しかしながら、この党勢の急拡大が後の悲劇を生んだのである。
 「下乳横乳論争(※1)」を経て採択された32年テーゼ、「巨乳支配主義と階級的カップ制反対、乳の自由のため、貧乳主義者のためのおっぱい革命」によって引き起こされた巨乳主義者に対する武力闘争、第六回全国協議会による穏健派の追放、全日本貧乳派共同戦線(全貧共)への改組、さらに先鋭化・武装化する過激派グループ……。
 東アジア反巨乳武装戦線「狼」などは特にその名を知られている。

 このような負の歴史を抱えた貧乳主義者達にとって、暴力化する勢力と袂を分かち、健全にして正統たる貧乳主義を確立することは急務であった。
 そして、第八回全国協議会において、武装主義路線との決別、発展途上乳派(※2)の除名、貧乳境界説(※3)の否定を採択し、全国貧乳主義者同盟(全貧同)が発足したのである。

 全貧同の主張は誤解されがちであるが、巨乳を否定するものではない。
 巨乳こそが価値を持ち、貧乳はその価値を持たないとする考え、つまり「巨乳礼賛主義」に反対するものであり、個々人がどのようなおっぱいを好むかということは自由である。
 スタイルがいい=おっぱいが大きいというのは、典型的な巨乳礼賛主義であり、このような考えがおっぱいの自由を阻害し、無用な対立を生じさせるものだ。
 共産党宣言に、「 今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である 」とある。
 まさにおっぱいの間に生じているものは階級闘争である。
 しかしながら、その階級とは恣意的に作り出された階級であり、巨乳礼賛主義者どもがおっぱいに対して押しつけた架空の価値観に過ぎない。

 AカップとFカップは等価値であり、そこに優劣は存在しない。
 服のSサイズとLサイズに優劣が存在しないのと同じである。
 そこに階級を作り出し、闘争を生じさせ、世界中に不和をまき散らした巨乳礼賛主義者どもこそ、我々の打ち倒すべき敵である。

 すべての乳に解放を!
 寄せず、上げず、詰め込まず!
 すべてのおっぱいは等価値である!!

 一時期ほどの勢いはなくなったものの、いまだに巨乳礼賛主義の勢いは強い。
 すべてのおっぱいは等しく素晴らしい、と人々が心の底から言えるその日まで、全貧同は歩みを止めないのである。


  ※1下乳横乳論争:下乳と横乳、どちらが良いかという論争。下乳派は巨乳主義者である、との論調から32年テーゼの作成、採択へとつながった。
 ※2発展途上乳派:貧乳の対象として、未成年者を含めるという派閥。全貧同においては、「幼年者の貧乳は潜在的巨乳である」と定義している。
 ※3貧乳境界説:貧乳を何カップまでと定義するかという論争に対し、全貧同では「おっぱいに階級無し」との観点からその境界を定めていない。